この本のポイント
- 日本の再興を考えるうえで、「欧米」を見習おうとすることは大きな間違いだ。日本はいま一度、自国の歴史を振り返りながら、どう変わっていくべきなのか整理する必要がある
- これから求められる産業に対応するためには、戦後につくられた日本人の精神構造を変形させ、システムやテクノロジーの更新を行なわなければならない
- テクノロジーがますます進化していくなか、画一化や標準化は時代遅れだ。これからは多様性をもって生きていくことが望ましい。
感想
通常、思いっきりマイナスなイメージで語られる「少子高齢化」ですが、あえてチャンスと捉えている点、そして、その根拠に納得感がありました。とても学びのある本です。
刺さった部分:2000年に日本が変われなかった理由(以下、引用・抜粋)
- ライブドアの堀江貴文さんが逮捕されたあたりで日本のIT変革の流れは止まってしまった。
- IT鎖国をできなかったせい。
- プラットフォームを考える上で、国産サービスを守るための障壁を作ることはとても大切。
- 2000年代の日本はIT鎖国をした中国をバカにしていてグレートファイアウォールと揶揄していたが、結果としては中国の方が正しかった。
刺さった部分:人口減少・高齢化がチャンスである3つの理由(以下、引用・抜粋)
理由1:自由化、省人化に対する「打ちこわし運動」が起きない
- 人が減って、かつ高齢化で働ける人が減る
- そのため、仕事を機械化してもネガティブな圧力がかかりにくい
理由2:輸出戦略
- 人口減少・高齢化が早く進む分、高齢化社会に向けた新しい実験をやりやすい
- これから中国を筆頭に世界中が高齢化する
- もし日本が人口減少と少子高齢化へのソリューションを生み出すことができれば、それは”最強の輸出戦略”になる
- 以前の日本は、欧米や米国などで生まれたビジネスを時間差で日本に輸出する「タイムマシンビジネス」が主流だが、今後は日本で生まれたビジネスを海外に輸出する「逆タイムマシンビジネス」が可能になる
- 少子高齢化対策技術は、輸出の切り札になるだけでなく、インバウンドの人材誘致戦略としても力を発揮する。例えば、軽井沢をさらに少子高齢化時代に向けてバージョンをアップすれば「軽井沢に住みたい」と言う中国のお金持ちが続々と出てくる可能性がある
理由3:教育投資
- これからの日本は、人材の教育コストを多くかけることができる国となる
- なぜなら、人口が減少しているので、相対的に大人の数が多くなり、子供の数が少なるため、「子供は少なくて貴重なのだから大切にしよう」と言う気運が高まると、社会全体として子供に投資しても不平が出にくくなる
- 子供に対して教育コストをかけることが社会正義であり、社会善となる