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【地方創生とは?】なんとなくはわかるけど、意外と知らない定義と必要性

今回は「地方創生」について、書いていきたいと思います。
ニュース等でよく出てくるワードなので、多くの方が聞いたことはあると思います。
ただ、しっかり理解できている(誰かに説明できるレベル)の人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回はその辺の基礎的な内容を説明していきたいと思います。

地方創生とは

まず、定義についてですが、「地方創生」とは、
2014年(平成26年)9月3日の第2次安倍改造内閣発足後の総理大臣記者会見で発表された言葉になります。

何となく、昔からありそうな言葉ですが、
実は使われ始めたのは6年くらい前からなんですね。
定義はコチラ

東京圏への人口の過度集中を是正し、それぞれの地域で住み良い環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目的としている。
※東京圏:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県及び茨城県の各一部

出典:内閣府 地方創生推進事務局

では、なぜこの言葉が必要になったのか、背景を説明していきましょう。

なぜ地方創生が必要なのか?

結論からお伝えしますと、「地方が死ぬと、国も死ぬから」です。
まず、そもそもの国家の定義についてですが、以下になります。

国(くに、こく)は、一般的に、住民・領土・主権及び外交能力(他国からの承認)を備えた地球上の地域のことを指す。

出典:Wikipedia

2021年3月時点で世界には196の国が存在します。

国の中には複数の自治体が存在し、
日本においては、国の中に地方公共団体が47の都道府県、2021年3月時点で1,719の市町村があります。

一極集中の対象として定義される東京圏は1都4県の各1部で、市区町の数は183です。これは全体の10.6%(183/1719)となりので、残り9割が地方となります。数としてみるとかなり大きいと思います。

もちろん、東京圏として定義される市区町は人口・財政ともに他よりも大きいため、一概に数で比較することはできないという意見もあると思いますが、それでも東京圏とその他を比較すると財政・人口で比較すると地方の影響力の大きさが見えてきます。

東京圏地方
人口3,644万人9,027万人
経済規模(総生産)186兆3,660億円375兆1,573億円
出典:地域・地方の現状と課題(富士通総研)/県民経済計算(内閣府)
出典:temita.jp

このように、東京圏と地方を比較すると、衰退していると言われていても地方の存在感は強く、
これら地方が力を失うことは国の経済力低下に直結します。

ただ、そうはいっても

「その分東京が発展すればいいだけの話。東京圏の一極集中すると何が悪いの?都会の方が便利だしそれでいいんじゃない?」

という意見もあると思います。
そこで、以下には東京圏一極集中で具体的にはどんなデメリットがあるのか、以下にまとめしたいと思います。

東京一極集中のデメリット

大きくデメリットは3つあります。

デメリット1:地方衰退に伴う経済への悪影響

メインはこれだと思います。上述したように地方の人口や経済規模は大きいです。
これが縮小するとどんな問題が起きるのでしょうか?

地方衰退の影響1:人口減による民間の生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療期間・交通等)の縮小

日常生活を送るために必要な、小売や飲食、娯楽などのサービスは、一定の人口規模が有るがゆえに成り立っています。生活関連サービスを営むために必要な人口規模を下回ってしまった場合には、地域からサービス産業の撤退が進み、生活に必要な商品やサービスを入手することが困難になってしまい、その地域で生活することが非常に不便になってしまいます。

出典:bunshun.jp

加えて、人口減少による児童・生徒や生産年齢人口の減少が進むと、通勤通学者が減少し、民間事業者は採算が取れなくなり、サービスの提供が困難となってしまいます。

そうなると、地方の鉄道や路線バスにおいて、不採算路線からの撤退や運行回数の減少が起きてしまい、地方における移動が非常に不便になってしまいます。

特にこうした地域ほど、高齢化が進んでお年寄りの方がたくさんいらっしゃるので、移動手段として公共交通を利用する傾向があるため、地域公共交通の衰退によって生活にマイナスの影響を与えてしまいます。

出典:yomiuri.co.jp
地方衰退の影響2:税収減による行政サービス水準の低下

人口減少とそれに伴う経済・産業活動の縮小によって、地方公共団体の税収入は減少します。一方で、そういう地域ほど高齢化が進行するため、社会保障費が多く必要となります。

その結果、地方公共団体はそれまで受けられていた他の行政サービスを廃止、又は有料化せざるを得なくなり、結果として生活するコストも上昇し、不便になってしまいます。

地方衰退の影響3:地域コミュニティー機能の低下

人口減少は、地域コミュニティの機能の低下に与える影響も大きいとされています。町内会や自治会といった住民組織の担い手が不足し共助機能が低下するほか、地域住民によって構成される消防団の団員数の減少は、地域の防災力を低下させる懸念があります。

また、若年層の減少は、伝統文化や地域の祭りのような伝統行事が継続できなくなることにつながってしまいます。このように、住民の地域活動が縮小することによって、住民同士の交流の機会が減少し、地域のにぎわいや地域への愛着が失われてしまいます。

上述したこれがよって地域の稼ぐ力・魅力が損なわれ、GDPの7割を占める地方の経済力が低下してしまいます。

デメリット2:首都災害による経済活動の停止

東京一極集中は地方だけにでなく、東京にも悪影響を及ぼします。
具体的には自然災害リスクです。東京の人口密度は世界トップです。

それに加えて、日本は複数の大陸プレートがぶつかり合う地震多発国。
近い未来、かなり高い確率で首都直下地震が起こることが予測されています。

出典:asahi.com

このような人口密集地帯で大規模な地震が発生したらどうなるでしょうか?
過剰なまでに集中した東京の経済活動が止まることは日本経済の停止に直結します。

デメリット3:出生率低下による経済への悪影響

最後に東京圏の一極集中は国全体の出生率の低下につながると言われています。
以下に東京と地方の結婚平均年連と出生率のデータを記載します。
これをみると東京圏は結婚しにくく、子供を生みにくい場所であることがわかります。

上記踏まえてると東京一極集中のデメリットの大きさと、それに対する対策(地方創生)の必要性がわかると思います。

「ただ、重要性はわかったけど、具体的に何を目指して、どんなアクションしているのかわからない」という方が多いと思うので、何のために(何を目指して)地方創生を実施するのかをお伝えいたします。

国が定める地方創生の目標

冒頭に「地方創生」とは国が定めた言葉であると伝えました。
地方創生の法的根拠は「まち・ひと・しごと創生法」で、同法の第1条に国が目指す地方創生の目的が明記されています。

まち・ひと・しごと創生法(抄)
この法律は我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の現象に歯止めをかけることとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住み良い環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくためには、国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的に推進することが重要となっていることに鑑み、まち・ひと・しごと創生本部を設置することにより、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを目的とする。

出典:平成二十六年法律第百三十六号

これ、理解できましたか?(おそらく、???と思います。。)というのも、法律としての記載のため、だいぶ抽象的な表現となっているからです。。そこで、「内閣府 地方創生推進事務局」のサイトを見てみると、もう少しわかりやすく、かつ数値指標も添えて記載されています。

長期ビジョン

・人口減少問題の克服:2060年に1億円程度の人口を確保
・成長力の確保    :2050年代に実質GDP成長率1.5~2%程度維持

4つの基本目標

・稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
・地方とのつながりを気付き、地方への新たな人の流れを作る
・結婚・出産・子育ての希望をかなえる
・人が集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

2つの横断的な目標

・多様な人材の活躍を推進する
・新しい時代の流れを力にする

端的にまとめると

地方の「魅力向上」×「雇用創出」を進めることで、国の持続的な経済発展と人口減少抑止(できれば増加)を目指す!

こんな感じかなと思います。

ここまで長々と書いてしまいしたが、「そもそも地方創生とは何か?・何で必要なのか?・どんなことを目的としているのか?」について、まとめてみました。

いかがでしたでしょうか?この記事で皆様の地方創生への理解が少しでも深まれば幸いです。重要性今後は具体的な取り組みなどを書いていければと思います。